断熱・気密

insulation & airtightness

寒い日本の家
欧米よりも遅れた基準

2018年に世界保健機構(WHO)は、「冬場の家で健康を守るための室温は、最低でも18℃以上確保すること」という勧告を出しました。その対策として、新築時や改修時に家を断熱することを提⾔しています。冬の日本で、室温が18℃を下まわることは往々にしてあるのではないでしょうか。1990年代につくられた省エネ基準(断熱等級4)がいまだに最高の基準で、しかも義務化もされていない。欧米では当たり前の基準に、日本はまったく追いついていません。

HEAT20のG2グレードを
当たり前の基準に


  • 次世代省エネルギー基準を超えるHEAT20

    HEAT20は、2009年に発足した「20年後を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会」の略称です。快適に、健康的に、経済的に暮らすために室内温熱環境はどうあるべきかを考え、次世代省エネルギー基準とは少し異なる視点から、G1・G2・G3という3つの断熱⽔準を提案。S-ZEHの家はG2グレード以上の性能を確保しています。


  • 地域特性に合わせ高い断熱性能を確保

    北は北海道から南は沖縄まで、日本列島は気温差があるため、地域によってHEAT20の基準も異なります。これを地域区分と呼び、8つの地域に分かれています。たとえば、最も寒い北海道などの1地域におけるHEAT20のG2グレードの基準は、断熱性能を測る外皮平均熱貫流率(UA値)が0.28以下に設定されています。

  • UA値とは
    UA値は、「どれくらい熱量が家の外に逃げやすいのか」を表す数値です。数値が低いほど、外に逃げていく熱量が少なく、冷暖房効率が上がります(外からの冷たい空気、暑い空気も伝わりにくい)。
  • C値とは
    C値は、「どれくらい家にすき間があるのか」を示した数値です。1㎡あたりに存在するすき間面積を示す数値で、C値が低ければ低いほどすき間が少ない家、つまり高気密な家になります。

性能が高い家とは・・・

  • 低断熱な家の室温と体感温度は全然違う。

    「しっかり暖房しているのに寒く感じる…」といった経験はありませんか?実はこれ、断熱性能が低いために表⾯温度が下がっていることが原因。表面温度が下がると、体感温度も下がります(体感温度=室温+表面温度÷2)。快適な温熱環境を実現するためには、室温と表面温度の差を少なくすることがポイントとなります。

  • 温度差が小さい家は健康リスクが低くなる。

    日本の多くの家は、リビングと水まわりを比べたとき、6~10℃の温度差があると言われています。家の中の急激な温度差により血圧が大きく変動することで、失神や心筋梗塞、脳梗塞などを引き起こす現象を「ヒートショック」と呼びます。それを防ぐためには、断熱性能を高め、家の中の温度差を少なくする必要があります。

S-ZEHの家の断熱・気密性能

数値ではなく体感性能を高める

断熱性能を上げる、つまりUA値の数値をよくするためには、壁と窓の断熱は必須です。しかし、壁は面積が広く、また、窓はもともとの性能が低いため、裏を返せば、壁と窓の断熱さえしっかりやっていれば手っ取り早くUA値はよくできる、とも言えます。ただ断熱は、数値で表される性能だけではなく“体感性能”が重要です。S-ZEHの家では、壁と窓の断熱はもちろん、屋根と床の断熱も徹底的に行っています。

断熱材

高性能フェノールフォーム断熱材
  • 01トップクラスの高い断熱性能

    熱伝導率0.019W/(m・K)と、業界トップクラスの断熱性能を有する断熱材。厚さは45mmで、他の断熱材と比較して薄く、厚みの制限がある部位でも余裕を持った施工が実現できます。

  • 02気泡が小さく熱が伝わりにくい

    気泡が大きい断熱材は対流が起き、熱移動しやすくなってしまいます。一方、気泡が小さいフェノバボードは対流が起きず、熱移動もしにくい。これにより、高断熱の家を実現できるのです。

    03断熱性能の経年変化が少ない

    フェノバボードは、熱的にも化学的にも安定したフェノール樹脂と非フロンガスを採用。ガスバリア性を高め、断熱ガスを抜けにくくしているため、経年劣化が少ないのも特徴のひとつです。

  • 内外W断熱

    家中をまるごとつつみこむように断熱することで、外気との熱移動を軽減するとともに、内側と外側で断熱することにより壁体内の結露も同時に防ぎます。

  • 屋根断熱

    外気との熱移動が軽減でき、天井断熱よりも熱がこもりにくく特に夏の暑さ対策に有効的です。

  • 床断熱

    床下の断熱を厚く、内側も断熱材を施工するW断熱で、足元の冷えを軽減し、体感温度を高めることができます。冬の寒さ対策に有効的です。

家全体を断熱材ですっぽり包み込むことで、室内温度を一定に保つことができます。
これにより、暮らす人の健康はもちろん、建物の健康の維持にもつながります。

※フェノバボードを使用した施工方法の一例

窓は、光や風だけではなく、熱の出入り口ともなります。窓の断熱性が低いと、夏場は外から熱を取り込み、冬場は室内の暖かい空気を逃すことになってしまいます。

『高性能樹脂窓』
  • 高性能窓の代表格が、窓枠に樹脂を使い、そこに高性能ガラスをはめ込んだ樹脂窓です。樹脂は熱を伝えにくく、熱伝導率はアルミの1,400分の1。S-ZEHの家は、高性能樹脂窓を標準仕様としています。

  • トリプルガラス

    ガラスとして最も断熱効果の高いとされる中空層の厚さ16mmにアルゴンガスを封入。その中空層を2層にし、2つのLow-Eガラスで挟んだ層厚41mmのトリプルガラスとなっています。

    樹脂フレーム

    フレームにも中空層が多いマルチチャンバー構造を採用(枠フレーム4チャンバー・障子フレーム3チャンバー)。枠と障子も熱を伝えにくくなり、フレームの表面温度は1.5℃上昇します。